SWEDEN Goteborgから南東へ約2時間
のびのびと緩やかな曲線を描く広大な牧草地帯を抜けると
突然大きな松の森に左右の視界が閉ざされます。
さらに森の奥の地図に載っていない小さな林道を鹿の群れを横目に
1時間ほど進むとオーケさんの工房と自宅があります。
SWEDEN随一の工業都市GOTEBORGでVOLVOのエンジニアとして活躍していた
オーケさんは、自然により近い生活を求め、森の中に工房と自宅を建て、
木工作家として活躍しています。
森の終点にひっそり佇む工房は茶褐色に塗られた壁に白い窓枠の
SWEDENの伝統的なスタイルで、新緑の黄緑色と空の透明な青さに
美しいコントラストを与えています。
オーケさんは、バターナイフ、皿、ケーキサーバーなど
日常生活で使用する伝統工芸品の中でも特に小物木工用具製作を得意としています。
素材となる木材は、森の中にある強風で倒れた桜やアルダーの木々を
数年間乾燥させてから使用します。
森に暮らし、森からの恵みによって生む出されるオーケさんの道具を手に取ると
木肌という言葉を思い出しました。
私達は木材を手で触る、なでることで風合いを認知していることが
多いように思います。
もしかしたら、木材は視覚以上に触覚に訴える素材なのかもしれません。
オーケさんの作る作品群は、SWEDEN伝統工芸品に良く見られる
典型的造形であるのに関わらず
その丁寧に作られた木製品の手触りによって
オーケさんの作家性が触覚を通して伝わります。
オーケさんとの出会いはデザインを生業としている私達にとって
モノの形以上にそのモノの存在をあらしめる要素の可能性というものを
再認識する機会となりました。
それは、手触りであったり、風合いと呼ばれる曖昧な領域の表現です。
実は、デザインの中でもこのようなことはよくある事例でもあります。
同じ製図を提出しても工場によって出来上がる製品が異なります。
それは、その風合いによる差異です。
製図では表わし尽くせないその領域を大切にしていきたいと思います。
美しい風合いのオーケさんの小物木製品はNATUR軽井沢で販売しています。